国立駅北口から徒歩1分 中学受験専門の進学塾 鼎進学教室
  • facebook
  • instagram
  • youtube

社会

~ 近年の社会科の出題傾向と、社会科の「学び」の姿勢について ~
【 学びの広さ×深さ 】を求める傾向
「社会科」は「社会化」である、という意識のもとで、入試問題をつくることが広まりつつあると言っても過言ではないだろう。
A 資料読解→文章記述を中心とし、その扱うテーマがユニークな出題 :麻布、武蔵、海城。
B 総合問題のなかに、社会性や歴史性などを盛り込み新機軸が形成されつつある :女子学院、鷗友。

【 今年度入試の概観 】
全体として見れば、各学校の特色が表れた出題傾向だったと言えるが、開成中は、ここ2~3年の難易度から、やや易化し8割前後の得点が必要であった。女子御三家は、全体として若干やさしくなった感がある(とりわけ桜蔭中は易化した分、「質の高い完成度」よりも、処理速度の側面に主眼を置くスタイル(浦和明の星・洗足学園などのタイプ)へと大きな変遷を遂げ、女子学院中は質量ともに易化した。その他、各学校は例年通りの方針を貫いたようだ。 各学校の出題が一定のレベルを維持するならば、当然対策もしやすくなるわけで、高得点勝負の学校も増えている(例 吉祥女子中・豊島岡女子中・洗足学園中などの合格者平均点の高さ)。そうすると学校側がどう工夫して出題するかが、ここ数年問われている感がある。では、単純に難易度の高い問題を出せば良いかというと、多くの受験生が知らないような知識を問う出題には首をかしげざるを得ない。むしろ、女子御三家などのように如何に学習してきたか問われる問題、すなわち、有機的に紐付けされた関連情報を縦横無尽に「運用」していく力や、あるいは与えられた条件(文章・データ・資料)を分析し考察して解答を出す問題の方が、受験生の努力が報われると考えられる。
以下、本年度の出題から検討していく。

【 本年の出題傾向 トピック分析 】
① データの読み取り問題の増加
~ 「手」で際立つ箇所を捉えよ!
自らの知識をもとに与えられた資料を読み解き、解答を導きだすタイプの問題です。グラフや 表、図版などの複数の資料を組み合わせて読み解かせるものも増加しています。しっかりと「書き込んで」情報を処理することが必要です。

例) 栄東中 吉祥女子中 豊島岡女子中 洗足学園中 鷗友学園女子中 富士見中
開成中 本郷中 渋谷幕張中 ラサール中 立教新座中 早稲田実業中 明大中野中
など他多数校で出題。

② 地形図やその他の地図の読み取り問題
〜 地図は「手」で視ろ!!!
単純な地形図の読み取りや時代の異なる地図を比較したうえで記述させる問題まであり、そのありかたはさまざまです。いくつかの学校では定番となっています。こちらも上位校から中堅校まで幅広く出題されます。
さらには、単に地形図の読み取りではなく、地図に関連する内容を問う問題も複数見られました。

例) 浦和明の星中 立教新座中 開智所沢中 豊島岡女子中 鷗友学園女子中
国学院久我山中 城北中 獨協中 穎明館中 東京電機大学中
など他多数校で出題。

③ 選択肢の吟味を丁寧に!
〜 アンダーラインや印を付けな がら、正確に判断せよ!
正確に情報を処理しうる能力を問う傾向が強くなっています。単なる選択肢でなく、二つのものを組み合わせて問うものがここ数年見られるようになりました。

例) 桜蔭中 雙葉中 女子学院中 吉祥女子中 豊島岡女子中 洗足学園中 富士見中
開成中 攻玉社中 本郷中 城北中 桐朋中 帝京大中 穎明館中 明大八王子中
など他多数校で出題。

④ 記述問題 ( 読解力(客観力) × 考察力 × 表現力 )
〜 感覚で書かず、パーツを箇条書きにして整理せよ!
従来、一部の学校で資料や長文の読み取りと関連させる記述問題中心の出題が行われていました。そうした学校には「今年はどんなテーマで迫るのだろう」と、社会科教師であれば誰もが楽しみにしています。近年、ますます多くの学校が記述問題を採用するようになりました。単に用語や知識の説明を求める問題よりも、資料や長文を読み取り、そこから考え、説明する能力が問われる傾向にあります。 自らのまわりの生活と社会のつながりを意識し、日頃からしっかりとロジカルに学べ!

例) 麻布中 武蔵中 海城中 駒場東邦中 開智所沢中A・B 国学院久我山中
栄東中東大選抜Ⅰ・Ⅱ  鷗友学園女子中 成蹊中 栄光学園中
など他多数校で出題。

⑤ 社会問題に対する意識を問う
〜 自己を社会の一員として捉え、他を想像する力の重要性。
新しい「社会科」に対する認識。時事問題を含め、現実での社会事象に基づいた出題が増加しています。身近な問題を題材に扱った出題は、まさに社会科は社会化であることを示唆しています。

(1)「働き方改革」・「物流2024年問題」関連  
~ 単に時事問題としてだけではなく、消費者の便利さの追求が、運輸労働者の生活や健康を脅かし、彼らの幸福追求を省みないことにつながってくるという現代社会への警鐘なのでしょうか。
例) 武蔵中 海城中 雙葉中 城北中 獨協中 栄光学園中
などで出題。

(2)周年問題
~ もはや時事問題としてではなく定番化!?

◇ 2024から◎●年
「第五福竜丸事件から70年」 × 「自衛隊発足から70年」
「平安京遷都(794)」、「遣唐使廃止(894)」× 「光る君へ(大河ドラマ)」
「建武の新政(1334)」、「日明貿易開始(1404)」、「スペイン船来航禁止(1624)」、
「日米和親条約(1854)」、「四カ国連合艦隊下関制圧(1864)」、「秩父事件(1884)」。
「民選議院設立建白書提出150年」 × 「自由民権運動の広まりから150年」
「甲午農民戦争/日清戦争」 ×「領事裁判(治外法)権の撤廃」
「日露戦争」 × 「ポーツマス条約」
「サラエボ事件」 × 「第一次世界大戦」
「東京五輪開催と東海道新幹線開通60年」 × 「パリ五輪」 × 「ロス五輪」

◇ 2025から◎○年
「壇ノ浦の戦い(1185)」 × 「下関条約(1895)」
「山城の国一揆(1485)」 × 「加賀の一向一揆(能登半島地震から1年)」
「大阪の陣(1614-1615)」  × 「武家諸法度(1615)」 × 「参勤交代(1635)」
「日露和親条約(1855)」 × 「樺太千島交換条約(1875)」
「江華島事件(1875)」 × 「日朝修好条規(1876)」
「内閣制度(1885)」 × 「下関条約(1895)」
「普通選挙法(1925)」 × 「治安維持法(1925)」 × 「ラジオ放送開始(1925)」
「ポツダム宣言受諾から80年」 × 「アジア太平洋戦争」
「阪神淡路大震災(1995年1月17日)」 × 「地下鉄サリン事件(1995年3月20日)」

(3)時事問題 + α 新紙幣×旧紙幣/佐渡島×北緯38度×世阿弥/関西万博×大阪万博etc.
など多数校にて出題。

【 学びの姿勢はどうあるべきか 】
「情報化社会」となった今、知識量の多寡、すなわち「知る」こと自体よりも、それに振り回されずに自分のフィルターを通して、情報の取捨選択を行い、正しい情報を「使うこと」 (リテラシー)こそが大切だと考えられています。それに伴い、社会科の入試問題でも、図版・表・グラフなどの「資料」を読み取り、課題文や選択肢を情報分析することで解答へと導かれる問題の割合が増加していく傾向にあります。もちろん、基本的な用語や事項に関する知識が豊富であって然るべしで、知識力が有るにこした事はないのですが、ただし、それらを相手(出題校/出題者)と会話のキャッチボールをしているかの如く、相手(出題校/出題者)の意図を汲み取ったうえで、問題をしっかりと読み解いていくことが前提です。ただ「知っています」・「覚えています」ではなく、それらをいかに系統立て、関連情報を紐づけし、有機的に連携させ、outputの際に出力しやすいようにカスタマイズして、頭のなかの「引き出し」を引き出しやすく繋げておくことに尽きます。そのうえで、それを「使う」能力(運用力)が試される。日々の学習のなかで正確な知識の定着を図ることが「目的」なのではなく、それは問題解決のための「手段」であると認識されるようになったと言えるでしょう。

【参考】「身近なところ」に興味関心を持てば、それが社会科の扉を開いてくれます!